<審査員コメント> ・「今、日本のビジネスパーソンが読むべき本」、という選考基準に最も適う、本能による思い込みにとらわれずに、事実に基づいて世界を見ることの大切さを教える1冊。すべてのビジネスパーソンが世界を理解するに際して、素養として身に着けるべき必読の本。 ・既に多くの人々が世界中で手にしているが、“ベストセラー”という一時的なヒット作ではない。これまでの数多のビジネス書の中でも、そのファクト分析の本質を伝えているという意味でも、世界の格差や差別への問題提起という点でも筆頭格の名著である。すべてのビジネスパーソンに一度は熟読していただきたい。 ・データに基づいて世界の見方を教えてくれる興味深い内容だった。データについて自分の感覚がズレていることが気づかされ、シンプルに「本質」を見極めることができる。 ・何より読みやすくて、知的好奇心が満たされて、純粋におもしろい。 ・今回の審査員をしていなかったら多分こんな素晴らしい本とはすれ違っていたと思います。本屋さんのビジネス書コーナーに平積みされ、このタイトルで……だいたい中身が想定されるからです。自分に都合のいい見方をするな、多様な見方、自省的な見方をしなさい、なんてことが書いてあるんじゃないか、と勝手に思い込んでいたでしょう。これが大間違いでした。哲学書以上に人生の指南書になってくれそうな本でした。 ・「分断」がいまの世界における一つのキーワードと言えると思う。もちろん悪い意味での。複雑な事情が絡み合い、相互に関係を持っている世界を把握し、問題を解決するのは骨の折れる作業で、そのわかりづらさを避けるために、どちらかが間違っていてどちらかが正しい、という簡単な対立の考えが増えているような気がする。でも、実際のところ世界は複雑だ。この本はその世界の見方を変えてくれる1冊。 ・「ファクトフルネス」がダントツの横綱であり別格。私自身もそう思うし、選考会でも、その考えで一致した。とくにコロナショックを経て、「データを正しく読むスキル」は、これまで以上に重視されていると思う。
<審査員コメント> ・なぜ日本でイノベーションが生まれないのかという命題にまさに答えてくれる1冊。成長をし続ける企業の実例、特にアマゾンはなぜ深化と探索を同時に展開できたのか。半面、なぜ日本でも多くの顧客と人材、経営基盤をもつ企業が衰退しているのかという問題の一端が理解できる。 ・豊富な事例に基づいて両利きの経営を解説し、そしてそれを実現させるリーダーシップと方策を提示してくれている。管理職層、経営者層にとって示唆に富む書である。 ・周知の「イノベーションのジレンマ」を克服するのは「二兎を追う」経営であるとの主張を帰納的に導いている。世界の大企業がいかに克服し、または克服できずに終わってしまったかを実例を対照しながら説いていることから、実際の経営やチームマネジメントに生かしやすい。イノベーションの持続性が低い日本の経営者や、これからリーダーになっていく方々に手にしていただきたい。 ・特別賞・ビジネスリーダー部門『両利きの経営』は、コロナで転換期を迎えた今、すべてのビジネスリーダーに読んでもらいたい。個人的には自分の仕事に一番役に立った本です。 ・『両利きの経営』は、多くの企業が渇望するイノベーションというテーマに正面から切り込んだ良書。インターネットの急速な普及を背景に、主力事業を存亡の危機に追い込む「破壊的なイノベーション」に多くの企業が直面している。だからこそ見知らぬ新分野を開拓しようという「知の探索」と既知の分野を深掘りする「知の深化」が重要になる。それをいかに実現するかについて、本書では、コンセプトから、どう実践すればいいかまで分かりやすく述べている。失敗と成功の豊富な事例も参考になる。
<審査員コメント> ・徹底したデータ主義でビジネスパーソンに、日本の「いまここにある危機」は何かを示してくれる。COVID-19で先が見えないいまだからこそ、未来を考える方法を学ぶために読むべきと言える。 ・日本の「構造問題」という、大きく、深過ぎ、複雑過ぎる国家レベルの課題には、一度国民は立ち止まって現実を直視し、その危機感を十分に認識する必要があった。そういう意味において、新型コロナウイルスの世界的パンデミックはその問題に国民を向き合わざるを得なくさせる千載一遇のチャンスにもなり、この『シン・ニホン』の持つメッセージ性は一層高まった。 ・筆者の代表的著作である『イシューからはじめよ』と同様、課題を設定し解決するための「体幹」を鍛えてくれる本。これは、意思決定層向けの実践的な指南書であり、さまざまな逸話も無駄なく面白い。 ・コロナ禍によりさらに不透明さが増した現在をビジネスパーソンが生き抜くにあたり、世の中の動きを的確に捉える見識を持ち、自分たちの未来を、自ら描き、変えてゆくことのできるように、豊富なファクトに基づいていて、示唆に富んでいる。 ・日本という国を改めて考えるきっかけになった。 根性論でも数字の羅列でもなく、冷静かつ熱意を込めて日本を語っている。 新しいカテゴリのビジネス書と言えるであろう。
<審査員コメント> ・圧倒的にわかりやすい。その意味で、経済学を学ぼうとして躓いた多くのビジネスパーソンに役立つ書籍。 ・個々の事象に目を囚われるのではなく、要するに全体として何が起きているかを把握する必要がある。 そうでないと、未来を自分が予測することはできないから。 経済の歴史を俯瞰し、未来を予測し、描くために、本書は必読の書であると思う。 ・今まで何冊も経済の入門書を手に取ったが、資本主義における経済のメカニズムについて非常にわかりやすく説明されておりこの先も普遍的に読み継がれるだろう作品だった。 ・今までの経済学に関する学術書の多くが、数学的説明で難解だったところを、まったく違うアプローチで直観的に掴める本として実現した。 ・あらゆる垣根を跳び越える自由なアナロジーにより、経済学をわかりやすく解説した知的冒険書。とくに、第9章「資本主義の将来はどこへ向かうのか」は壮大なる思考実験。現在の経済運営の問題点(巨大企業による寡占化、環境破壊問題)を、独特な概念である「縮退」から読み解いており、知的興奮を覚えた。
<審査員コメント> ・これだけ包括的な哲学と宗教は一般書では目にしたことがない。教養としての哲学や宗教を、その特徴とともに、歴史的背景や複雑な因果関係も含めて理解することができる。 ・哲学と宗教は日常生活ではほとんど意識しないことだが、世界のビジネスパーソンと渡り合うための一般教養としては重要だ。サピエンス全史に続き、必読の教養書だと思う。 ・日本人がグローバル化の中で生きていく際に、必須の教養がわかりやすく書かれている。 ・本書はよくあるただの「図鑑」や「チャート式マニュアル」とはまったく異なります。宗教と哲学という切り口から概観した、人類という生き物の思考の進化史となっている。その点が、きわめて斬新でかつ有用性が大きいと思います。 ・現代の問題を解決するために、哲学と宗教は必要だと痛感した。今まで、自分には関係のないジャンルだと思っていたが、世界史を知ると、すべてが理解できるという串刺し感がある。古代から現代に至るまでの「全史」は、考察や推薦書籍も含めて、圧巻。人間の考え方は変わっていない。人類の本質が理解できる一冊だ。
FACTFULNESS
両利きの経営
The Third door(サードドア)
現代経済学の直観的方法
父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。
哲学と宗教全史
1兆ドルコーチ
シン・ニホン