選評
グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ

60年代のロックバンドに現在の先端のビジネスモデルを見出している視点が新鮮。特にビジネスと相反しそうなヒッピーの思想から始まっている点が面白い。本の作りも斬新。「FREE」あたりと併せて読むと一層楽しめる。

三省堂書店神保町本店 篠崎凡さん

はじめて見た時は、ビジネス書然としない装丁にギョッとしたんですが、あれよあれよという間にバンドマン人脈に広まっていき、たちまちベストセラーになったのには驚きました。グレイトフル・デッド史を綴ったサクセスストーリーとして、読み物としても面白い1冊。

日販書籍部書籍仕入第二課 大橋功幸さん

「FREE」や「SHARE」ですでに語られた内容ではあるが、ミュージシャンをキーにし、装丁にも工夫を凝らすことで、新しい読者にアプローチしたことは素晴らしいと思う。切り口を変えることで、読みやすさ含め、ビジネス書に馴染みのない層に広く読まれた編集力の高い1冊。

TSUTAYA.com EC BOOK 八田真佐子さん

本としてはひとつのケースをマーケティングの言葉で後分析したにすぎないが、それでも読んで考える価値がある本。変な管理をしなければ、本当に素晴らしいもののまわりにはマーケットが自ずと育つという素晴らしい事例を知ることができる。ビジネス書でありながら、これを人生に置き換えて処世術としてみるのも面白い。

フリー編集者 小都一郎さん

成功事例に学ぼう!という本は多々あれど、ロックバンドにマーケティングを学ぶというのは極めて大胆な発想ではないだろうか。しかもそのバンドというのが、「メジャーレーベルでミリオンヒット連発」的な人々ではなく、60年代ヒッピー文化の象徴のようなアーティスト「グレイトフル・デッド」なのだから。どう考えてもAKB48あたりを参考にする方がマシなようにも思えるが、実は彼らが行ってきた活動こそ、最近注目されている「ソーシャル」や「フリー」、「シェア」といった概念を先取りするものだったことが解説される。マネジメントが必要なのは先端技術や最新理論ではなく、優れた哲学であることを改めて教えてくれる一冊。

ブログ「POLAR BEAR BLOG」 小林啓倫さん

まったくビジネス書らしくない装丁で、手に取るか手に取るのをやめるかキッパリ分かれてしまいそうな本書ですが、私は前者で、表紙を開いたが最後ワクワクしながらページをめくっていました。マーケティング書として手にとった人はもちろん、別のところから興味を持ちこの本を手にした人も、どちらも十分楽しめる納得の1冊だったのではないかと思います。

カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 中島万里さん